「健一…なに?」

「なにじゃないだろ。なんで先に行くんだよ。」


走ってきたのかにじんだ汗をぬぐいながら言う。


「別に約束してないし、健一といたら女の子の友達出来にくいんだもん。」


―実際、中学のときは常に隣にいる健一のせいで女子からは軽く無視されてた。


「健一君の幼なじみだからって調子のってる。」



いつも言われてた言葉



はぁ…
嫌なこと思い出しちゃった。



「なんだよそれ。とにかく一人で行くなよ。高校生なんだから悪い野郎に絡まれるだろ。」


なんだその理屈。


「残念でした。翼と二人だから大丈夫だもん♪」


ベーッと舌を出して翼の後ろに隠れる。

健一はそこではじめて翼の存在に気がついたようだ。

「誰?」

「神木 翼です。奈々とはさっき友達になってもらったの。」

「ふ〜ん…。俺は斉藤 健一。よろしく。」


こんな美少女が微笑んでるのに顔色一つ変えない。
自分の顔で美形はみなれてるのかな?


「ってか女同士なら意味ねぇだろ。」

「もう…健一がそんな心配性だから彼氏もできやしないよ。」


はぁ…
思わずため息がでる。