あまり生徒が通らない奥に保健室はある。
休み時間だというのに誰も通らない廊下。

遠くで休み時間ならではの生徒の喧騒が聞こえる。


「…えっ?」

「入学した時から菜々に対する一途なところとか見て好きだと思った。」


まるで告白とは思えないほどの翼の立ち振る舞いに戸惑う健一。


「だからといって付き合ってとは言わない。
菜々のこともあるけど、二人に言わなければいけないことがあるから…。」


ずっと堂々としていた翼が初めて弱気にうつむく。


「どういうこと?」

「まだ言えない。
菜々がもう少し落ち着いてから…。」


―どういうことだ?
ってかどうすりゃいいんだ?


菜々から離れろ
好きだと告白
付き合ってとは言わない
隠してることがある


いきなり重い話をされて健一は混乱していた。