「斉藤クンに目をつけた女子が奈々チャンが邪魔なんだってさ♪」


やっぱりそうか…

またか…


反論しようとする翼の手を握り首を振る。


「奈々…」








気がつくと男はいなくなっていた。


「落ち着いた?」

「うん。ありがとう。」


そっと頭をなでる翼。

その手のひらの暖かさに胸が熱くなる。
気がつくと涙が溢れてきた。


「翼…聞いてくれる?」


私は思い出したくない過去を翼に話したいと思った。


もう一人で抱えるのは辛くなっていた。



また繰り返すのではないかという不安も芽生えてきた。


翼…初めて心から信頼できる友達。


重たいと思われるかもしれないけど、分かって欲しかった。