「ちょっと探してくる。」

そういって席を立とうとした時、神木に支えられながら奈々が教室に戻ってきた。


…泣いてるのか?


奈々に駆け寄ろうとしたところに先生がきた。


「授業はじめるぞ。」


教室を見渡した先生がうなだれてる奈々に気が付いて声をかける。


「松木?具合悪いなら保健室に行くか?」


奈々は下を向いたまま、小さくうなずいて教室を出ていく。

心配で一緒に行こうとした時に一足早く神木が立ち上げる。


「付き添ってきていいですか?しんどそうなので…」

「あぁ。そうだな。」


二人が出て行くのをただ見てるだけしかできなかった。


あんな奈々は久しぶりに見た。


始まった授業も上の空に記憶をたどる。