奈々は自覚がなさすぎる。
小柄な体にふわふわな栗色の髪、あの大きな瞳で見上げられると大抵の男は落ちてしまう。
だから心配で幼なじみの立場を利用して側にいる。
付き合ってるという噂が流れるのは本望だし、自分で言うのもなんだけど俺の容姿にかなう奴もそうそういないからな。
奈々に近寄る野郎たちを追い払ってきた。
―奈々は気づいてないけどな。
「ったくそんなまわりくどいことしてないでさっさと告白しろよな。じゃないと周りに被害がおよぶ。」
ため息をつきながら拓海は言った。
「俺だってこのままでいいとは思ってねぇよ。」
―まだ早い
まだ奈々は恋すら知らないんだからな。
今告白したところで、この関係が壊れるだけだ。
そんな言い訳
ただ勇気がないだけの自分を誤魔化す。