電話をかけても、中々出てくれない。
必死に走っていると、あと少しで家なのに、転んでしまった。
「...はぁ。
何であたしはドンくさいの....」
「本当。
鈍感すぎて、俺泣いちゃうよ?」
「あ…先輩…」
「いい加減名前で呼んで欲しいのに、照れ屋さんだから…」
「...いつも先輩が悪いんですよ。
あたし不安になってばっかで.....」
先輩があたしのところに歩み寄ってきた。
震える声で、あたしは必死に先輩を見上げる。
「余裕そうでっ...ずるいですっ」
「余裕じゃないって、いつも言ってるでしょ?
好きな子といたらなお更だよ」
ふわりと先輩の腕の中におさまる。