奏汰が退院して

会社を作る作戦とか、教授と打ち合わせしたり

なかなか慌ただしい日々の中



研究所の仕事で、彼のいるY大へ







「嬉しい!ありがとう!!」

「えぇ!!それって!!オッケー!?」

「!!!え」

「嬉しいよ…」

「おいっ…あの…」







高校時代から付き合い、同棲している彼

森重 浩一君が

可愛い健康そうな、女の子の告白を

OKした

トイレから出て、すぐにこんな所を目撃するなんて…最悪




あたしは、浩一君に何かしたのかな…


いや、やっぱり


あたしじゃ、ダメなのかな…




今日は、あたし達の付き合いはじめた日

忘れるはずないよね?



あまりのことに、奏汰を置き去りにして


人目のつかないところで


心を落ち着かせようと


深呼吸して




『 浩一くん へ
今日は、久しぶりに早く帰れるので
一緒に外食しませんか? 結 』



恐る恐るメールを送った




『ごめん…部活の先輩と飯の約束した!』


『了解です!』





覚えてなかった……





一緒に住むようになって、避けられていると気づいて


それでも



今日は



この日は、忘れてほしくなかった



ショックで、立ってられなかった


声を殺して泣いた



ひとりでいたくない


今日は…




高校時代の寮の先輩に電話した


『今日って、あの日でしょ?いいの?』


先輩は、覚えてくれていた




あたしが助けを求めたせいで、死んだ

あたしの初彼の命日

そして、あたしが浩一君と生きたいって

思った日




特別だと思っていたのは

あたしだけだった…