「マスク取っていいよ」


奏汰に会える


お風呂以外で、マスクを外すのは

久しぶりでドキドキして、手が震えた


!!!!!!!!


「わぁっ!!!何?凄い!!!」


あたしが奏汰と、ここに来たとき

部屋は、真っ白だった

今、あたしは、空にいる

真っ青な空の中に


「青空になったの?」

「あははっ あっ ごめん
青葉君が予想した通りだったから」

「え?」

「さぁ、挨拶しておいで?
ひとまず今夜は、霊安室に行くからね」


ずいぶん痩せてしまった奏汰の顔は

それでもイケメンで

ズルイと思った


「おやすみ」


何て挨拶していいか、わからなくて

そう言った


奏汰が連れていかれた後

職員さんと2人で、ベッドメイキングをしなおした

あたしが砂まみれにしたからだと

思ったけど

かえないといけないものらしい


「七瀬さん、今夜は、寝られないだろうから、青葉君からの指示を出すね
天井以外の壁、あそこの角が1番
番号書いてるから
順番通りに剥がしてね」

「わかりました
ありがとうございます」



これ、剥いだら青空じゃなくなるじゃない


あっ 片付けろってことか

しっかりしてる


これだけあたしを脅かして片付けを任せるなんて

バリ

!!!


1番の青い画用紙をとると、付箋に

〝初めて会ったのは、桜の下だった〟

2番

〝俺のギターが結を呼んでくれた〟

3番

〝今日から、ここで結をひとりじめする〟

画用紙を剥ぐ度に、付箋が出てくる

あたしは、夢中になって画用紙を剥ぐ

〝すごくはしゃいでいたのにアイマスクで、不機嫌になった〟

〝廊下で結がこけた〟

〝うまく障害物をよけたのに、自分の足に躓いてこけた〟

〝部屋の中は、完璧に歩けるようになった〟

〝今日から、結を抱きしめて寝る〟

〝結の寝顔を見たいけど、アイマスクが邪魔だった〟

〝ちょっとアイマスクをずらしたら
自分でなおしてた〟

〝寝てても言いつけを守ってくれて
嬉しかった〟

〝散歩に出掛けた〟

〝今日の天気、見える景色を結に教える〟

〝乗り物に乗せてみた〟


などなど、恐らく日々あたしを観察したらしい



ストーカーか!!