大晦日と正月に外泊をした



あたしの育った施設の裏に丘があって

そこから初日の出をみるのが好きなのだ

こっそり、抜け出して1人でみるのが、毎年恒例だった


あたしの誕生日


毎年、来ようねって、去年、浩一君と約束した


どうせ、覚えていないから

1人で満喫しよう



生まれ変わったような気になれた



涙が止まらなかった




来年も絶対来よう





いつも、1人だったから


さみしいとも思わなかった


来年こそ、浩一君と!とも思わなかった


これは、あたしだけの行事だ


1人の方が良いのかもとさえ思う



誕生日なんて



そんな特別なことじゃない


中学時代に出会った

あたしのヒーロー 森田 恭

同じ誕生日の彼が好きだった

生まれて初めて

〝生まれて来てくれてありがとう〟

という言葉をくれて

あたしの生徒手帳を持ちさっておいて

あたしのことを忘れた人




あたし……男を見る目ないのかも





朝日が昇りきったのをしっかり見終え


東京の病院に戻った




退院できてからすぐ、大学


休んでいた分の補習レポートを提出した



奏汰が食事に誘ってくれて


誕生日祝って奢ってくれた


すごく、嬉しかった



生きてていいよって、言われた気がした




奏汰が彼氏だったらなぁ



恋心は、ないくせに



居心地の良さから、勝手なこと思った


あたしは、天国には行けないな