そんなあたしが佐古君と話しているのを見て、風斗がそう思うのもムリはないのかもしれない。
なーんだ。
佐古君と話しているのを見て妬いたのかも……!
なんて、そんなことが一瞬でも頭をよぎった自分がバカみたい。
そんなの……ありえないのにね。
はぁ。
ホント、バカみたい。
少し胸が痛かった。
そのあとすぐにチャイムが鳴って先生がやって来た。
風斗は素知らぬ顔で前に向き直り、またまた珍しくHRを起きて過ごしている。
思わずじーっと見つめていると、それに気付いた風斗と視線が重なった。
ドキンと跳ね上がる鼓動。
風斗は首を傾げて不思議そうな顔をしている。
こんな顔もカッコ良いなんて、ホント反則だよ。
こんなに好きなのは、あたしだけなんだね。
そう思うと胸が苦しくて仕方なかった。
ホントは告白したいけど、幼なじみっていう居心地の良いポジションを失うのが怖くて出来ない。
この関係を壊したくなくて、幼なじみから抜け出せずにいる。
誰にも取られたくないと思ってるのに、一歩を踏み出せないなんて。
「住田さん」
「え?」
ぼんやりしていると、再び佐古君に声をかけられた。
「今日の帰りにクレープでも食べに行かない?」
王子様スマイルでニッコリ微笑む佐古君。
「えっ!?」
「そんなに驚かなくても」
ビックリし過ぎて思わず大きな声が出たあたしに、佐古君がクスクス笑う。
「だ、だって……!どうしてあたしと?」
今日初めて話した仲なのに、突然誘われる意味がまったくわからなくてパニック状態。
「言ったじゃん、住田さんとお近付きになりたいって」
お近付きにって……友達になりたいって意味?