「ま、待ってよ」
慌てて隣に並んでその横顔を盗み見る。
何を考えているかわからない無表情は相変わらずだけど、その端正な顔立ちにドキッと鼓動が鳴る。
隣にいるだけでも、すごく意識しちゃう。
「あー、腹減った。今日のご飯はなんだろうな」
まるで何事もなかったかのように、いつも通りの振る舞いをする風斗。
ま、あたしのことなんて何とも思ってないよね……。
それにさっきの告白も、風斗からすると何でもないことだったのかな。
何事にも興味や関心を示さないから、本心が見えなくて胸が痛い。
「あたしもお腹減った。なんか甘い物が食べたい」
特に今日は委員会で疲れたから、余計に糖分を欲している。
久しぶりにクレープとか食べたいなー。
「ねー、クレープ食べて帰ろうよ」
「面倒くさい」
「め、面倒くさいって」
まぁ、風斗なら言いそうなことだけど。
こうもはっきりきっぱり言われると、やっぱりダメージはでかい。
こんな風に言われるのは初めてじゃないけど、あたしに興味がないんだって実感してしまうから余計に傷付く。
きっとあたしが告白しても、さっきの子と同じように振られるに決まってる。
『ふーん』とか『そっか』とか。
きっと関心を示してはくれないと思う。
ただ幼なじみだからこうして話してくれるだけで、帰る方向が同じだからタイミングが合えば一緒に帰っている。
……ただそれだけのこと。
風斗の中のあたしなんて、きっとそれくらいの認識なんだ。
そう考えると、なんだか胸が苦しかった。
あたしが気持ちを伝えたら、もう今みたいな関係じゃいられなくなる。
風斗はきっと、幼なじみ以上の関係を望んではいない。
ううん、そんなこと自体に興味がないんだと思う。
それがわかりきっているから、今のままの関係を壊さないようにしなきゃ。