「美央は佐古のことが好きなんだ?」
「へっ……?」
あたしが……佐古君を?
なんでそんなことを聞くの?
意図がわからなくて首を傾げると、腕を掴んでいた風斗の手の力が強くなった。
「クレープ食いに行くの?さっき、オッケーしようとしただろ?」
「え?いや、あのっ……」
ジリジリと距離を詰められて、どんどん後ろの方に追いやられる。
だけど、腕を掴まれているからその差は縮まるどころか近くなってく一方。
整った風斗の顔と大きな図体に、やがて壁際まで追い詰められてしまった。
今までこんなことは初めてだから、余計にわけがわからなくて何も言えなくなる。
それよりも、至近距離にいる風斗にドキドキが止まらない。
「クレープ食いに付き合ってくれる男は、俺じゃなくても良かったんだ?」
「な、なに言ってんの……昨日断ったのは風斗じゃん」
面倒くさいって、そう言ったくせに。
「昨日は甘い物を食べる気分じゃなかったんだから、仕方ないだろ」
「そ、そうかもしれないけど」
「俺がダメだからって、佐古と行くんだ?」
眉が吊り上がっている風斗の顔はなんだか怖くて、思わず息をのんで見つめる。
……怒ってるの?
ううん。
そんなわけない。
風斗が怒るわけない。
「食べに付き合ってくれるなら、誰でも良かったんだろ?」
風斗の目は、あたしを蔑んでいるようだった。
どうして?
なんでそんなことを言うの?
なんでそんな目で見るの?
あたしが悪いわけ?
意味……わかんないよ。