それ以外に考えられない。
佐古君みたいな人気者が、どうしてあたしなんかと友達に……?
かなり不思議だったけど断る理由はない。
だけど未だに信じられなくて、どう返事をすればいいのか戸惑う。
「俺、かなり甘い物が好きなんだよね。あ、住田さんのことはそれ以上だけど」
「え?」
そ、それ以上……?
意味がよくわからなかったけど、あえて深くは考えなかった。
ううん、考えられなかった。
隣からまた、鋭く刺すような視線をひしひし感じたから。
風斗はさっきと同じように頬杖をつきながら、こっちをじーっと凝視している。
さっきよりもムスッとしてるように見えるのは、多分あたしの思い過ごしだ。
それなのに、見られてるってだけで急に落ち着かなくなった。
「な、なに……?」
「ちょっと来い」
えっ!?
「ちょっ、どこ行くの」
「いいから」
突然立ち上がった風斗は、あたしの腕を掴んで教室の外へと連れ出した。
掴まれた腕が熱くてドキドキが加速する。
予測不能な事態に思考が追い付かなくて、引っ張られている間はただ風斗の大きな背中を見つめていた。
階段を上がらされて、連れて来られた場所は4階の一番奥にあるコンピューター室。
窓に遮光カーテンが引いてあるコンピューター室は、朝だというのに薄暗くて中が見えにくい。
中に入ると風斗はピシャリとドアを閉めた。
もうすぐ授業が始まるっていうのに、そんなことは頭から吹っ飛んでいた。