僕の短く貴重な休みは、あっという間に終わりを告げた。
だから僕はこうしてまた、戦闘機を操縦しているわけだ。
2日も触れていなかったから、感覚が少し鈍ってしまったようだ。
でも、体は自然と動く。
今日襲撃されていたらおそらく死んでいただろうな。
ちょっと寄り道をして帰ろうと思った僕は、上昇してさらに上へ上へ。
長いため息をついた後、一気に下降した。
振れる機体。
左右に翼を動かしている。
鳥のように飛んでるみたいに。
久しぶりの任務は偵察だった。
どうして、全パイロットに休暇を与えたのか今でもわからない。
それはまるで、もう自由がないことを示しているようだった。
「遅いぞ」
無線から聞こえてきたのは、倉田の声だった。
「もう帰ってる」
「ほーい」
僕はまた機体に集中した。
海。
青い海。
そういえば、戦闘機で泳いだことはあるけど、海に入ったことはない。
それはきっと、死ぬ人の為にあるからだと思っているからだろう。
もちろん上空で体も大破してしまうかもしれないけど、ちょっとくらいは海に沈んでいくだろう。
ほんの少しの欠片でも。