部屋に戻った僕は、まずベットにダイブした。
うつ伏せのまましばらく目を閉じる。
寝ようと思って目を瞑ったのに、全く眠気が襲ってこない。
それどころか、冴え冴えした様である。
僕はそんなことに呆気にとられた。
大それたことをしでかしたわけでもない。
空の上にいるわけでもないんだ。
むしろ今は一時の自由と言えよう。
なのに、疲れたと言うよりも違う言葉が似合いそうな気がした。
そのまま体を反転して、右肘をついて頭を手の平にのせた。
片耳を塞いだ状態になっても、車の走る雑音は嫌なくらい聞こえてくる。
そう、朝なんだ。
皆何かに追われているかのように、騒がしくせかせかと急いでいる。
僕もそのひとりかもしれないけど、今日は違う。
傍観者でいられる。
これ以上の脱力感は一体なんだろう。
でも怖いのはこの事じゃなくて、この解放から解き放たれた時。
解き放すという言葉は主にいい意味で使うけれど、束縛から解き放たれたのではないのだ。
意味が全く違う。
使う人間によって、言葉の意味も変わってくる。
だから誤解しがちだ。
世の中は誤解と食い違いだらけなんだ。