「おっ!これでいいじゃん」
僕は彼女の好みで服を買わされた。
ぶかぶかの穴の開いたジーンズに英語で字がかかれた白いTシャツ。
黒い革のジャケットを羽織らされた。
「完璧」
彼女は親指を立ててウィンクする。
僕はそのままの格好で店を出た。
そして、着ていた服は勝手に彼女が店員に捨てといてと言って、置いてきてしまった。
全く酷い人だ。
そのあとも何軒か店を回ったが、めぼしい物がなかったみたいで彼女は何も買わなかった。
8階にあるレストランで、倉田たちと合流した。
いつの間にここと決めていたのか、僕にはわからなかったが、菊永は知っていたようだった。
迷わずエレベータに乗って、案内板を確認してからそそくさと歩いていってしまったからだ。
「よっ!お〜悠斗、服買ったんじゃん。いいよ」
倉田は上機嫌だった。
横にいたミキとユイも2袋ずつ手に持っていて、冬樹は何も買ってなさそうだった。
倉田は彼女たちの分だと思われる紙袋を3袋持っている。
「なんか安かったからいっぱい買っちゃったよ」
僕の視線に気付いたのか、ミキが言った。