僕の前に立っている女性は、黒髪が肩より少し長く、背は160くらいか、白い肌でキリッとした眉。
スルッとした体型で、僕が思っていた想像とはかなりかけ離れていた。
女性パイロットと言うほどだから、マッスルな体型かと勝手に誤解していた。
これは典型的な偏見に差別だ。
自分が少し情けなくて、まともに彼女の目を見ることができずにいた。

「何処見てんの?」
彼女は僕に尋ねてきた。

「いや…空かな」
僕はとっさに嘘をついた。
彼女は僕の嘘に笑った。

「面白いのね…名前は?」

「本城」

「本城…下は?」

「悠斗」

「ふ〜ん。私のことは聞いてるでしょ?」
彼女は後ろを向いて中庭をゆっくり歩きはじめた。

「今日配属された女性パイロット」
僕は彼女の背中に向かって言う。

「それだけ?」
彼女は驚いて立ち止まり、振り返った。
「他は?」

「それだけ」

僕がそういうとまた、ふ〜ん、と言って今度は僕に向かって歩きだした。
彼女が僕の1m前で止まった。

「超エリートなのに?」
彼女は笑顔で僕に言う。

僕はなんだか変な感じがして、笑ってしまった。