ドキン、と心臓が跳ね上がった。

光りに照らされた彼の髪の毛がキラキラと茶色に透けて見える。



『ったく、お前が投げるからだろー!暴投しすぎなんだよ!』

後ろに居る友達にそう言って、彼は再びあたしを見下ろした。



『ごめんね!お詫びにそれ、あげるよ!落としたやつで悪いけど!』

『え、で、でも!』


戸惑うあたしに
彼は太陽のような笑顔を向ける。

『俺の大好きなクリームパン。』







―――きっとあたしは

あの笑顔を一生忘れないと思う。



理屈では説明出来ない気持ちを

勘違いだなんて言い訳出来ないときめきを


あたしはあの時、感じたんだ。





『玲、どーしよっ!』

『何が?』



胸に抱えた、大好きなクリームパン。

彼も、大好きだと言っていた。



でも、それ以上に
大好きだと思える人に出会ってしまった。



『あたし、好きな人出来ちゃった!』


あの笑顔に、あたし
恋をしました。