神楽くんの笑顔は、まるで魔法みたい。


がんじがらめになった、あたしの心を
その笑顔一つですっと取り除いてしまう。

言葉一つで、あたしの不安を追い払ってくれる。



水がなきゃ芽がでないように
太陽の光がなきゃ花が咲かないように

あたしも
神楽くんの言葉と、その笑顔が必要なんだ。


そんな事を、思った。




「あ、そうだ!」と思い出したように口を開いた神楽くんは

「菊井はバイトとかしないの?」

そう尋ねて来る。


「え、バイト?」

「うん。何かこの前結構楽しかったって言ってたから。」


バイト、かぁ…。

確かに、してみたいって気持ちもあるけど
あの時は玲も桜井くんも

神楽くんも、みんな居たからなぁ…。



うーん、と唸りながら

「…考えてなかったかも。」

首を傾げて答えた。