気持ちが悟られないように明るく振る舞ってみるけれど
そのせいか、早口になってしまう口調が苦し紛れにも聞こえる。
どうして
神楽くんの前だと、あたしはこうも感情が表に出ちゃうんだろう。
これじゃ、玲たちに言われるのもあながち間違ってないなぁ。
慌てるあたしを
やけに冷静な自分が第三者の目で傍観してる。
ふう、と深呼吸して
「じゃあ…、」
視線を合わせないまま、神楽くんの横を通りすぎようとした時だった。
「迷惑、じゃないよ。」
え……?
背中を追いかけて来た声に立ち止まって振り返る。
同時に振り返った神楽くんが、困った様子で頭を掻いた。
「いや、ほら…俺、まだ新人だし…。しかも慣れない事ばっかりでテンパってばっかだし。」
そのー、とぼやいた神楽くんは言葉を繋げて。
「ちょっと恥ずかしかっただけで、迷惑…だなんて思ってないから。」
ニッと笑った笑顔が、その言葉を真っ直ぐあたしに届けてくれた。