「はぁ……。」
鏡に映る自分が溜め息を吐く。
きゅっと蛇口を締めて、髪型を整える手が止まった。
やっぱり、迷惑…だよね。
神楽くんは働いてるんだもん。
遊んでるんじゃない。
お金を稼いでる訳で…。
こんな所まで押し掛けて来ちゃって、あたしってホント無神経だな。
……もう少ししたら、玲たちに言って帰ろう。
その方が、きっと神楽くんだって仕事に集中出来るはず。
重たい気持ちを抱えたまま扉を開けてトイレから出ると
「…あ、」
ちょうどよく掃除をしていた神楽くんが見えた。
咄嗟に隠れるあたし。
どんな顔して話したらいいのかわからなくて。
小さく息を吐き出したあたしは
壁にくっついた状態で神楽くんに視線を向けた。