そんなあたしに
「あぁ、大丈夫。あいつ照れてるだけだよ。」
と、桜井くんが言う。
「け、けど…。あんな神楽くん、初めて見たかも…。」
神楽くんはいつだって笑顔だから。
どんな時だって
いつだって
笑顔を絶やさない人だから。
やっぱり、迷惑なんじゃないかな、って思ってしまう。
「大丈夫だって!俺、あいつが本気でキレてるのなんか見た事ないし。」
「確かに。神楽って、怒ったりとかないよねー。」
二人のやりとりも耳に入らなくなってきた。
どうしよう。
あたしが行きたい、なんて言っちゃったから…。
不機嫌そうな横顔が、脳裏に焼き付いて。
「…あたし、おトイレ…。」
急に下がってしまったテンションを連れたまま
携帯を片手に部屋を出た。