のりちゃんは受験生。あたしは誰にも言ってないとはいえ、人間関係で悩んでいる。
それなのに、タイミング悪すぎだ。
「それ…本当?」
のりちゃんがお父さんにそう問うた。
「……あぁ…。本当は紀香の受験が終わってから話す予定だったんだが…。本当にすまないと思ってる。結穂も…急にごめんな」
「いや…今更なに言っても離婚は決定事項なんでしょ?どうにもできない」
あたしがそう言うと、のりちゃんも続いて口を開いた。
「確かに私は受験があるけど…。ギスギスした中勉強なんて嫌だから。
2人がいいなら私はなにも言わないよ」
お父さんは気まずそうな顔をしてたけど、正直色々あって疲れていたあたしは、その場の空気に耐え兼ねて逃げるように自室へ向かった。
─────まさか、今とはなぁ…。
前々から父と母の不仲は知っていた。
お父さんはたまにしか家にいないし、いたとしても、いつの間にかお母さんとケンカしてる。
お母さんはきっとお父さんを愛しているんだろうけど、お父さんが不倫でもしたのかな。
個人的に、自分があまりショックを受けていないことに驚いた。
予感してたとはいえ、こうまで冷めていると、逆に怖いものだ。