のりちゃんは普通すぎる。
もし浮気してるなら、あたしに何があっても気付かれないように考えてるよね。
つまりあたしのいない、学校、眠ったあと、お風呂に入ってる時とかに連絡を取ってるはずだ。
今すぐにでも考えて動き出したかったけど、目が気になったから、腫れが引くまで冷静にした。
のりちゃんが帰ってきた頃にはすでに腫れは引いていた。
「のりちゃん、おかえり!」
「ただいま、結穂。目は…大丈夫だね」
「うん、もう良くなったっしょ?」
2人でリビングに向かい、お母さんと夜ごはんを食べる。
「お父さんは……今日も、仕事?」
温かかった食卓の空気が、凍った。
やばい。禁句……。
「……えぇ。そう、みたいね」
お父さんをもう、1ヶ月は見ていない。
夜遅くに帰ってきて、お母さんが起きるよりも早く、家を出て行く。
中学生のあたしだって、お母さんたちがうまくいってないのは知ってた。
………失敗した。
「……あ!そうだお母さん!聞いてよ、今日さぁ─────」
のりちゃんが話題を変えてくれたおかげで、その場は乗り切れた。