家に帰ると既にのりちゃんは帰ってきていて、バツが悪そうな表情でこちらに向かってきた。
「……おかえり、結穂。えっと…野口と別れたんだって?」
「ただいま。うん。別れたよ」
「浮気でも、された?」
「ふふ、そうだよ。浮気。だっさいよね、浮気、されるなんて…さ」
平静を装っているつもりだったのに、自然と涙が溢れた。
もう吹っ切ったつもりだったのになぁ。
「そんなことない。結穂、辛かったね」
のりちゃんはそう言って、抱きしめてくれた。
しばらくすると涙も止まり、のりちゃんにありがとうとだけ告げて、自室へ行った。
つくづく、いい姉を持ったと思う。
そう思いながら瞼を閉じると、寝るつもりはなかったけど、意識が遠のいていった。
そして、また、夢を見た。
あの日と同じ、みんながどこかへ行ってしまう夢だったけど、少し変わったところがあった。
その中に、お母さんとお父さんも加わっていたんだ。
やっぱり、あの夢の意味はわからなかった。