「ごめん。気付けなくて 」


「うぅん。私もごめん。話、続けよ?」


彩の目から涙が溢れた。


けど掛けられる言葉も見つからず、彩には悪いかもしれないけど、話を続けることにした。


「うん…………。じゃあ彩は、そのせいでをあたし恨んで竜樹を……?」


彩が苦しんでるのに気づかなかったから、あたしたちの仲を裂いたの?


「…まぁ、そうだけど………。それだけじゃなかった」


「え……?あたし、なにしたの?」


「ここから先は、教えられないな。きっと紀香ちゃんに怒られちゃうから」


「なんで?なんで教えてくれないの?のりちゃんが関係あるの?」


突然出てきた姉の名前に、少し戸惑った。


「本質的には無関係だけど、言えないもんは言えないのよ。きっといつか知ることになるから」


そう言って彩は、屋上から去っていった。


……まだ話が飲み込めない。


でも、彩は、あの笑顔の仮面の裏に、涙を隠していた。