ーーキュ、キュッ

あたしの大好きな、シューズのグリップ音。

バッシュでは無いけど、ある程度滑り止め加工のされている体育館シューズは、気持ちの良い音を奏でる。


そしてその音を聞きながら、あたしはボールを構えた。

そして、真正面のリングに向かってシュートを打つ。


《入る…!》

あたしの放ったボールは綺麗な弧を描いてリングに吸い込まれていった。


音もなく、綺麗に収まったボール。

ブランクはあるものの、やっぱり体が、手が、覚えている。

懐かしい感覚だった。

そしてその後、しばらくシューティングが続き、授業は終了。


英語は、先生の急な出張で自習に変更。

いつもは寝ているけど、今日ばっかりは寝ることなんてできない。

だからこそ、真面目にやった。