ーーーーーー『ばいばい。』



あの日、あたしが竜樹にそう言って、技術室から出ようとした時。



『…………っ待って!お願い結穂。これだけ言わせて!』



彼は、あたしを呼び止めた。



どうせもう関わることは無いんだし、聞いてやろうと後ろを振り返った。



『最後に………これだけ……。今から俺が言うことは、本当に嘘じゃない』



『本当に?あたしがそんなんで信じられると思う?』



『本当だよ。どうせもう会うことは無いんだから、嘘ついたって意味ないじゃん』



『…まぁ、それもそうだね』



『きっと結穂は、これから彩と話すことになると思う。
でも、彩が何と言おうと、あいつは俺の浮気相手だから。
あいつの言葉に耳を貸しちゃダメだ。真実を知りたいならね』



なんで竜樹がこんな事を言うんだろう……。


そう思ったけど、竜樹の事を信じたいっていう自分が勝ってしまっていて。



『わかった』



そう言ってしまった。



でもなぜか、これだけは信じなくてはいけないって思った。