「……ごめん、もう一回、言ってくれる？」
「だから、あたしと別れて？」
そう言うと竜樹は、傷ついたような顔をした。
なんであなたがそんな顔をするの？
裏切ったのは、そっちじゃない。
「なんで？ねぇ、俺のこと……嫌いになったの？」
「…うん。だって…………」
「なに？」
「竜樹、浮気してるんだもん」
彼の表情は、どんどん歪んでいく。
綺麗だな、と思っていた瞳には、うっすらと涙が浮かんでいた。
「待ってよ、違う……違うんだよ」
「なにが違うの？あたし、見たんだよ…」
そこであたしは、やっと気づいた。
自分が泣いているということに。
……あぁ、自分は、悲しかったんだ。
今までの自分は、ただ強がってるだけだったのか。
