ーーー……
ーーーーーガチャ
「結穂?ごめんね、遅れちゃった」
あたしが呼び出した時間の1分前に、彼はやってきた。
「ううん、まだ時間じゃないから」
「ならよかった」
竜樹はそう言って微笑んだ。
あたしが大好きだった、あの笑顔。
今はもう、不快でしかない。
「……で、話ってなに?」
とうとう、言わなければいけない。
本当は言いたくない。
ずっと好きだった竜樹に告白されたのに。
……でも竜樹は、あたしを裏切った。
浮気したんだ。それもあたしの親友とね。
「ねえ竜樹、別れてくれない?」
その言葉は、自分で言ったとは思えないほど淡々と、冷静に口から出た。