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あの日から何日も経って、気づけばもう、11月に。
竜樹先輩はすでに行きたい高校を決めて、受験勉強に励んでいる。
それでも時々、あたしとデートをしてくれる。
そして今日は、何度目かのお家デートの日。
先輩は今日は泊まっていけるらしくて、あたしのテンションは最高潮。
だってしばらく会えなかったんだもん。
………付き合ったばかりの頃は緊張して、先輩の顔も碌(ろく)に見られなかったなぁ。
でも今は、親公認で堂々と付き合っていられるようになった……はず。
最初に家に連れて来た時はお母さん、驚きすぎて固まっちゃったんだけど。
先輩も"結穂"って呼んでくれるようになった。
ーーーーピンポーン
噂をすれば、先輩が来たようだった。
「はーい!」
急いで階段を駆け降りて、玄関の扉を開ける。
「結穂!久しぶりだね」
「先輩、会いたかった!」
「結穂、可愛い!俺もだよ」
先輩はそう言って、微笑んでくれた。
あたしはこの笑顔が大好きだ。
和むっていうか、安心する。
「うるさいよー!リア充ども」
「うわっ、のりちゃん」
階段から降りてきたのりちゃんが、あたしたちをからかってきた。
「おい柏木。羨ましいからってそんな事言うなよな?」
先輩があたしの事を抱きしめながら言うと、のりちゃんは、「はいはい」と呆れた声で言って、リビングへ行ってしまった。