3学年の教室は1階にあるから、渡り廊下を渡ってそこへと通じる階段を駆け降りる。
そして、1度深呼吸してみる。
……やっぱり、学年が変わると緊張するなぁ。
雰囲気が変わるもんね。
えっと確か、3組だったよね。
「すいません…」
「おっ!2年生じゃん。どうしたの?」
恐る恐る声を掛けると、ドアの一番近くにいた女の先輩が反応してくれた。
「あ、えっと、竜樹先輩っていますか?」
「あ〜、野口?ちょっと待ってね」
そう微笑んで、教室の奥の方へ行ってしまった。
とりあえず言われた通りに待っていると、後ろから話しかけられた。
「あれぇ?結穂じゃん。どうした?」
その人は、のりちゃんだった。
なんとなく恥ずかしくて、「ちょっとね」って言って誤魔化すと、のりちゃんは、
「ふーん。まぁいいや。じゃあね!」
と言って、仲のいい沙知(さち)先輩と教室に入って行った。
沙知先輩があたしに手を振ってくれたけど、仲良くても先輩だから、頭を下げておいた。
すると、さっきの先輩が戻ってきた。
「ゴメンね〜、野口、今丁度委員会に行っちゃったっぽいね」
「あ、そうですか…。ありがとうございます!」
「いえいえ。すぐ終わると思うから、待ってたら?」
「えっと…じゃあ、ここで待ってます」
「うん。じゃあね!」
「はい!ありがとうございました」
先輩にお礼を言うと、先輩はまた微笑んで戻っていった。