「そういえばさ」

蒼斗に視線を移した。

「ゆきは剣道部にはいったのか?」

「うん。でも、下手くそだから、なかなか団体戦メンバーには選ばれていないけどね」

「へー。まぁ頑張れよ。選ばれるように」

小学4年生のときに始めた剣道は、中学、高校と続けている。
自分なりに頑張ってはいるが、団体戦メンバーに選ばれていないのが現状だ。
今年の県大会はダメだったが、秋に行われる新人戦ではメンバーに入りたい。

「蒼斗は? 野球部に入ったの?」

「いや、今は柔道部」

「えっ?! マシで! いつからやってんの?」

「中学から。団体戦にも出ているんだぜ」

「マジですか……」

小学校のころ、蒼斗は地元の野球クラブに入っていた。
守備はファーストか、セカンドだったような。ぱっとしない野球少年だったとは記憶に残っている。