◆ ◆ ◆

祭り会場に着いた。

立ち並ぶ出店に、行き交うたくさん人々。

かなり賑わっていた。

「人、結構いるな」

「そうだね。去年より多いかもしれない」

「マジで?」

「うん」

会話を交わしながら、私たちは当てもなく、ぶらぶらと出店が立ち並ぶ通りを歩いた。

周りに目をやれば、煙が立ち込める飲食系の出店に、射的などの遊び系の出店、それから楽しそうな人々の笑顔があった。

「何も、変わっていないな」
唐突に蒼斗は呟いた。

「そうかな?」

「あぁ。なんかわかんねぇけど、懐かしい感じがするんだ」
彼は自分の首を片手で触った。

「あっちでも、お祭りはあるでしょ? 行ってないの?」

すると彼は視線を斜め右に移し、「まぁ」と言葉を濁した。

おかしな蒼斗。

「おっ! 林檎飴!」

あ、誤魔化した。

蒼斗は林檎飴の出店に足を向け、私はその場で彼が戻ってくるのを待った。

容姿は変わっても、誤魔化し方は全然と言っていいほど変わっていない。
一体何を隠しているんだろう?