「ごめんね、ここね。お母さん、不安だったの。あなたに嫌われてるんじゃないかって。離婚して傷付けたし、恨まれて当然だって。だから・・・・・・誰かに支えて欲しくて、男の人に頼ってしまった。今まで、何度もそうしてきた。あなたに嫌われたくないのに、嫌われるようなことばかりしてきた」

過去の男性を思い出して、憎まれ口を聞きそうになるのを、背中の妖怪が止めてくれた。

「寂しかったの。でも、ここねはもっと寂しかったよね」

「私が落ち込んでても、どうしたの?って聞いてくれないんだよ?私の性格知ってるでしょ?自分からそんなの話せるわけないじゃん!」

中学の頃も、学校が嫌で休んだことがあったけど、お母さんは特に何も言わなかった。

「ここねが大好きで、私にはここねしかいないの。でも、こんな弱いお母さんで大変じゃないかなって思って、他の人に頼ってしまうようになった」

「そんなの言い訳だよっ!!」

溢れる涙を我慢することができずに、立ち上がろうとしたけど、妖怪の声が聞こえた。

“逃げるな、大丈夫だ”って。