「で、どしたぁ?俺に話があって、ここに来たんだろ?」

目をくりっと大きくさせて、私に顔を近付ける。

爽やかな秋の風が私達の間に吹き、胸がキュンとした。


「私、ひねくれてんのかな」

「ああ、ひねくれてる。でも、ちょっと引っ張れば直るんじゃね?」

「そうかな。もうぐっちゃぐちゃにひねくれてるかもしれない」


先生は、微笑みながら私の頭をコツンとして、ごろんと寝転んだ。

「お前も寝てみ。雲がすっげー速さで動いてる」


先生の真似して寝転んでみると、校舎と木の間から、青い空がよく見えた。


「この世界もこんなもんなんだよ。嫌なことがあっても、時間は動いてる。ずっと辛いことが続くような気がするけどそうでもない。俺なんか、嘘の噂とかしょっちゅう流されて逃げ出したくなるけど、そんな噂3日くらいで消える。そんなもんだよ」


至上最強のイケメンモテ教師にも、いろんな悩みがある。

こんなちっぽけな私に、悩みが山のようにあっても当然なんだ。