「今朝、俺を無視しただろ。おはようって言ったのに」
先生はちゃんと私を見つけてくれていたんだね。
先生のことだからそうなんじゃないかと思ったけど、それを認めたくなかった。
「だって、ファンに囲まれて、嬉しそうだったから」
あの時の気持ちは間違いなく、嫉妬だった。
「全然嬉しくねぇよ。俺は、キャーキャー言われたくて教師になったんじゃない。こうして、ちゃんと生徒と向き合いたい」
「モテすぎても、辛いんだね。先生も大変だね」
そう言って、私は先生のひざをポンポンと叩いた。
「ありがとう。ポンポン返し!」
と頭ポンポンしてくれた。
「1週間頑張ったら、って言ったのに、してくれるの?」
「ああ、今ちょっと俺を元気にしてくれたから」
ほんの少しでもいい。
先生の役に立てたなら。
それが嬉しい。