私は保健室に行くと言い、教室を飛び出した。


助けて。

先生。

もうサボらないから。

今日だけ、許して。

私、最低な娘になっちゃいそう。


お母さんのこと嫌いじゃないのに、お母さんを傷つけてしまう。

お母さんは不器用なだけなのかもしれないのに、私を見ていないって感じてしまう。


全部、被害妄想なんだよね。

お母さんは、ちゃんと私を愛してくれてるんだよね。

先生、助けて。



走って走って、
走った先にいたのは、黒いジャージ。


「来るかなって思った。ようこそ、特別課外授業へ」

「先生も、サボり?」


目を細くして笑った高垣先生は、話さなくても全部知ってるんじゃないかって思う。

「座れ。ほら、きれいな空だぞ」

「青いね。ものすごく青い」

空の青さを教えてくれたのは先生なんだよ。