―お母さん―


「ただいま~!」

機嫌の良い母が帰って来た。

午後7時。

「ご飯の用意するからもう少し待っててね」

「は~い」

私は、炊飯器のスイッチを入れることと、洗濯物をたたむことを日課としている。

離婚している家庭にしては、恵まれている方だと思う。

私は、なんとなく寂しいけれど不自由のない暮らしをしている。



そこに、キラっとした物があるだけでこんなにも日々がきらめくんだ。

高垣修人のおかげで、毎日が少し楽しくなった。

空の青さ、雲の美しさ、雨音の安らぎ、そんなことを感じる今日この頃。


これを、恋だと勘違いしてはいけない。

これは恋ではない。
愛でもない。


素晴らしい教師に出会えた感動、とでもいおう。

ただそれだけ。