「それ、女子が喜ぶからやるんですか?」

こういう自分の性格はかわいくないと自覚している。

先生は、ただ私を元気付けようとしてくれただけなのに。


「いや、ごめん。嫌だった?俺のファンの生徒には絶対しないんだけどな。誤解されたら大変だし。気を抜いてたな、ごめんごめん」


真顔に戻った先生を見て、胸の奥が痛む。

「私は誤解しないから。だから、またポンポンってしてください」

素直じゃない私が、今日は最大限に素直になっていると思う。

「ふふ、かわいいとこあんじゃん。じゃあ、1週間サボらなかったら、してやるよ」


そう言って、先生は私の肩に手を乗せて、バイクの方へと歩いて行った。



「あ、先生!ありがとう!この前、言えなかったから」


大きな黒い背中に叫んだ。


「俺こそ、サンキュー!嬉しかったよ」

一瞬振り向いて、手を上げた先生。