そんなにない席数。
壁際には小さなテーブルがいくつかあり、ふたり連れで席は埋まっている。
カウンターでひとりゆったりと飲んでいると周りの笑い声や、席がなくて残念な声を残して引き返す客の声が耳に続く。
私の隣だけひとり分残して席は埋まっていた。
「こんばんはぁー♪」
またひとり、お客さんがやってきたみたい。
チラッと近くのスタッフを伺うと、新しいお客さんに慣れたような会釈をして私の隣の席を案内した。
隣の椅子が引かれ、目の端に入ってきたのはスーツではない男の人の影。
「今日めっちゃ人多いなぁ?席空いてて良かった♪」