...。


無言で電話にでた。
すると電話越しに聞こえる激しい息の声が聞こえた。
走っているみたい。


はあっっ...はあっっ...
麗っっ..!?いまどこにいるんだよっ...?
はぁっっ...
どこにいるんだっっっ


かなり声を上げている。怒っているような口調だった。
何で怒っているんだろうかと思いながらも、私は海の中にいるとは言わなかった。


私は、本当にゆうくんの事好きだったよ。
それでも、もう辛いんだ。
いつも一緒に乗り越えようってゆうくんは言うけど、私には理解できなかった。

ゆうくんはずるいよ。欲張りだよ。
どんなに望んでも一緒にはなれない。
私やっと気づいた。
子供ができてゆうくんはパパになる。
そんなゆうくんを私は大好きでは止まらず愛してしまった。

愛してしまったら終わりだと最初から思っていた。
だからこそ、もうゆうくんの望んだ、築いていく人生を見ていくのももう嫌だし、邪魔者の私は消えるしかない。
この世に存在する必要なんてないんだよ。


ゆうくんは息を切らせながら聞いていた。鼻をすすっている音も聞こえた。
私が海にいるって言ったってどうせ来れないし仮にいまから来ても、もう私は陸にはいないんだから。


だからどこなんだってばあ!!っっ


すごい剣幕で怒鳴っている。


麗が海にいるのはわかってるんだっ...
はぁっっ...はあっっっ...
車も見つけたっ...
なんなんだよあの遺書みたいな手紙はっ!!!
本当に死にたいのかよっっ...



え?なんて言った??
車?遺書??近くまで来てるの??


私は全身鳥肌がたった。恐る恐る振り返ると遠い浜辺にはゆうくんがこちらに走ってくるのが見えた。