コンコンーー



「はい」



ガチャーー



「失礼します、社長」



「おお、野山か」



「書類のコピーができました」



「ご苦労様」



その笑顔にノックアウトされた女社員は顔を赤くしながら帰って行った



「姫歌」



「なに?」



「この書類をまとめてくれ」



「はいはい」



「なに可愛い顔してんだよ」



「はあ?!?!」



どこからどう見たら可愛く見えんのよ!!



私は今、不機嫌なんですけど!!



「妬いてんの?」



「な、なに言って…!」



「顔に出てる」



「え…」



「なんで怒ってんの?」



「誰が言うか」



「言えよ」



「自分で察してくださ〜い」



「言わないと今日帰ったらなにするかわからないよ?」



「言います」



くそ…



「あ、あんまり社員に笑顔向けないでほしい…」



「うわ…やっべー…」



「え?」



「姫歌、やっぱり無理だわ」



「なにが?」



「今日、帰ったらお前になにもしないこと」



「へ?」



「可愛すぎるから」



卒業してから約8年、結婚してから4年がたった



蓮は大学に入るのと同時に髪を黒に染めた



黒髪の蓮は茶髪の時よりもかっこよくて…