土方さんに稽古をつけてもらってから数週間…。


無事に私は医療班に所属することに決まったが、病人や怪我人がいなければ仕事もない。


もちろんみんな元気であることに越したことはないんだけど…。


幹部の皆さんは京の町を見回る朝夜の巡察など、日々隊務に明け暮れている。


冬のある寒い日の早朝…。


「それじゃあ遥さん、行ってきますね」


浅葱色の隊服に袖を通し刀を手に取ると、沖田さんはパタパタと部屋を出ていく。


あれ…その恰好…。


「沖田さん。今日は休みのはずじゃ…」


まるで隊務に出るときのような服装を見て、思わず問いかける。


「あぁ…。これはですね…」


沖田さんは隊服の袖を掴むと小さな声で言った。


「遥空を探しに行くんです」


「遥空を…?」


「えぇ。遥空の秘密を知るのは僕ら4人だけの上に、土方さん達は忙しい。
僕が動くのが一番いいかと思いましてね」