それだけは絶対にさせたくない。


させるわけにはいかない。


だから私は…強くなりたい!


「やぁあ!面!」


パァーン!


その想いだけで必死に竹刀を振るう。


「おい、あいつ。女子のくせに副長の稽古についていってるぞ」


「異国帰りって…いったいどんな稽古をしてきたんだ?」


いつの間にか稽古場にいた隊士達の手は止まり、驚いた様子で私達を見つめている。


そんな周りの様子なんて目に入らないくらい集中していた。


「はぁ…はぁっ」


体の疲れは限界に達している。


それでも打ってみせる…。


ふぅっと息を吐くと構えの姿勢に入る。


「…小手!!」


技の一打一打に全精神を込めて打ち続けたんだ……。