「ほら、どんどん打って来いよ」
「はい…っ!」
パァーン!パシーン!キーン!
面、胴、小手。
土方さんが構えたところに次から次へと打っていく。
「はぁ…っはぁ…」
息をつく暇もない稽古が小一時間ほど続く。
それでも土方さんに疲れている様子はない。
「まだいけるだろ?」
切れ長の瞳が挑発するように細められる。
息が苦しい。足が重くて上がらない。
お父さんの稽古より厳しいかもしれない…!
けれど……。
私だって市川家の看板を背負って剣道を10年続けてきたんだ。
遥空のように強くなれって言われて、彼を目標にしながら…ずっとずっと…。
遥空……。
確かに彼は頭が良くて剣も強かった。
けれども彼は桜華石の力を使い、私に大勢の人の命を奪わせようとしている。