「よお。…おまえ、その恰好はなんだ?」


袴姿の私を見て、土方さんは眉をひそめながら尋ねてきた。


「沖田さんが稽古に参加していいって言ってくれたんです」


「ふーん…おまえ剣の心得があるのか?」


「はい。実家が道場なので、子供の頃から習っていました」


「それならこいつらより歴が長いかもな。
……面白ぇ」


土方さんがフッと笑う。


素振りを終えると全員が面を装着して稽古を開始する。


「来いよ遥。受けてやる」


不敵な笑みを浮かべ、土方さんが竹刀を構えた。


「はい…!」


私も土方さんに向き合い構えの姿勢を取る。


「行きます…っ!
やあ…面!!」


パァーン!と竹刀の音を響かせ面を打つ。


「ふっ。中々筋がいいじゃねえか」


面の隙間から、土方さんが口角を上げているのが見えた。