「あいつが今日から入った女医者だって…!」


「昨日おかしな格好で屯所に現れた奴だろ?」


私を見るなり、隊士達がざわざわと騒ぎ出す。


ど、どうしよう…。


稽古場の入口付近で固まっていると、沖田さんが私の前に立った。


「遥さんは医学留学から帰国したところなんです。

長い間日本を離れていたので、慣れないところは助けてあげてくださいね」


何食わぬ顔で嘘をペラペラと並べていく。


医学留学って…!


私外国に行ったことないんだけどな…。


「わかりました、沖田隊長」


普通にみんな信じちゃってるけど…!


沖田さんの声で騒ぎは収まったものの…


依然として、隊士達からの好奇の視線を感じる。


うぅ…。

すごく緊張する…。


私…この人達と打ち解けることができるのかな。


ドキドキしながら準備中の隊士達をうかがう。


20人は超えているであろう隊士の中には、原田さんや永倉さん…

そして土方さんの姿もあった。


「おはようございます、土方さん」


タタタッと走り寄り…頭を下げる。