胴着に着替える人
竹刀の手入れをする人
準備運動をする人…
「これから稽古が始まるんですね。
私も剣を習っていたので、見てるだけでわくわくしちゃいます」
興奮気味に様子を見つめていると、スッと目の前に竹刀が差し出された。
「……っ」
顔を上げると、沖田さんが目を細めながら言った。
「良ければ遥さんも参加してみますか?」
「…いいんですか?」
「えぇ。でもその恰好だと動きずらいので、こちらに着替えてきてください。
小さめの物を選んでおきましたから」
そう言って沖田さんが袴を渡してくれる。
早速更衣室で着替えると、袴のサイズはピッタリだった。
袴の紐を結び、下ろしていた長い髪をひとつに束ねる。
新選組の稽古に参加することになるなんて…。
お父さんが知ったら羨ましがるだろうなぁ…。
急ぎ足で戻ると…稽古場にはぞくぞくと隊士が集まってきていた。