「よろしくお願いします…」


新選組総長、山南敬助…。


新選組と言えば体育会系なイメージだけど…彼は全然違う。


表情も話し方も穏やかで、雰囲気から優しい人なんだってわかる。


でも…。


山南さんが優しい人だからこそ…

彼はこの先…土方さん達との考えの違いに苦しんで……。


沖田さん達と笑顔で談笑する彼を見て、ふと悲しい気持ちになった。


未来で私が知った新選組の歴史。


それは決して幸せなことばかりじゃない……。


「遥さん…どうしたんですか?元気がありませんね?」


眉を下げながらじぃっとこちらを覗き込んでくるのは…


「沖田さん…っ!き、気のせいです!」


いきなり顔を近づけられて驚いたけど、必死に笑顔を作って見せた。


「でも…目に涙が…」


「ゴミが入っただけです…!」


ごしごしと目を擦り顔を上げると、みんなが稽古の準備をしているのが見えた。